病院で必要とされるAGV(無人搬送車)
(画像、イメージ、工場で活躍するAGV)
AGVは、日本語では自動搬送車、無人搬送車、無人搬送ロボットなどと言われています。JIS規格には、「本体に人手又は自動で荷物を積み込み、指示された場所まで自動走行し、人手又は自動で荷降ろしをする無軌道車両。広義には無人牽引車及び無人フォークリフトを含む。」と定義されています。
超高齢化社会に突入した日本では、医療現場となる病院での、経営の健全化と医療、看護サービスの質の維持、向上が求められています。病院の本来業務である医療、看護業務を阻害する間接業務の効率化に着目し、これを改善できるロボットが開発されようとしています。具体的には、医療、看護業務の調査、分析を行い、薬剤、検体、医療資材などの搬送業務が医師や看護師などの本来業務の大きな阻害要因となっていることが判明し、搬送業務に着目してロボットの開発が行われました。
政府は2015年「ロボット新戦略」を策定して、ロボット技術を応用することで医療、介護の様々な場面で人の代行、支援をして問題を解決していこうとした考えました。2016年に「病院まるごとロボット化(IT化)」が発表されました。「病院まるごとロボット化(IT)]とは、現場の医療行為そのものをデジタル化をする様に指示したものです。
現在、病院ではIT化の流れによりペーパーレス化が進んでおりデジタル化に取り組んでいます。医師の問診、検査データ、薬の種類、患者の訴えなど患者情報を一元化して、電子カルテとしてデジタル登録して、医療スタッフ間で共有することで、治療の安全性や患者の利便性を高める狙いがあります。一方、医薬品、検体、医療資材など搬送業務など、院内物流の担い手は今でも看護師が主です。看護師本来の業務以外の付帯業務をいかに軽減するかが課題であり、搬送設備の導入、搬送の効率化の要望が高まっています。現在無人搬送システムに関するロボット計画は実証段階に入ったところで、多くの企業がLANを通じて各種センサの信号授受が行える「病院内自立搬送ロボット」の開発が進んでいます。
「病院まるごとロボット化(IT化)」が実現すれば、近い将来、医師や看護師が薬剤、医療器材などを搬送することもなくなり、衝突物回避システムを備えた無人搬送ロボットが搬送するようになると思います。搬送業務全体をデジタル化することで、エレベーターの自動開閉、階段からの落下防止、自動ドアの開閉はもちろん病院内のあらゆる人を感知し、院内を自由に動き回る搬送ロボット。手術室では患者のバイタルをチェックして的確に手術を支援するロボット。薬剤部では医師が送信した処方箋をもとに薬を手早く、的確に分包するロボットなど、病院のあちこちでロボットの姿を見ることも遠くなさそうです。