水素燃料の調達に向けた取り組み
地中水素の採掘
最近になって米国等で注目されているのが、地中にある水素を採掘する事業です。
地中水素は英語で「geologic hydrogen」と呼ばれます。
水素は石油や天然ガス、石炭からつくる手法が主流とされていました。
地中から豊富な水素が得られるという地質学的な発見は、
水素の新たな調達手法として米国の有識者の方の間で注目されているようです。
燃料を多く輸入して電力を賄っている日本にとってもこれは大きなニュースであると考えられます。
一般的には、水素をつくるには、石油や天然ガスから抽出できるメタンなど炭化水素を水蒸気と反応させて、水と二酸化炭素を分離して水素を得る方法や、
褐炭など石炭を蒸し焼きにして石炭ガスをつくりそこから水素を得る方法、
水の電気分解によって水素を得る方法などがあります。
石油や天然ガス、石炭を活用して得る水素をグレー水素と呼びます。
同様な資源から得る水素でも二酸化炭素を回収したり貯留したりして得る水素をブルー水素と呼びます。
オーストラリアなどで進められているのはグレー水素やブルー水素の製造です。
再生可能エネルギーの電気で水を電気分解して得る水素をグリーン水素と呼びます。
日本は燃料を輸入して発電に多く活用しています。
脱炭素化の実現を達成するための取り組みとして、
近年になって水素やアンモニアなどが次世代の燃料として有力視されてきています。
日本国内でも福島などで水の電気分解で得るグリーン水素の実用化実証事業が実施されています。
現段階のところグリーン水素はブルー水素よりもコストがかかる課題があります。
火力発電に依存している日本の電力供給は段階的に燃料を脱炭素燃料に代替していくことが今後より求められてくると考えます。
燃料を輸入し、発電目的で消費するかたちは今後も当面は現実として続くと考えられます。
水素やアンモニアを燃料としてより活用していくためには実証実験を行っていったり、
技術・ノウハウを得ていくことが必要であると考えられます。