スーパーコンピューター富岳とは

スーパーコンピューターとは、大規模な数値演算を超高速に処理するための「大型コンピューター」のことで、略して「スパコン」とも呼ばれています。スパコンの計算能力が発揮されるのはシュミレーションです。環境問題、気象予報、天文学、化学計算、物理シュミレーションなどの高度な分野での計算に利用されています。

「富岳」とは、理化学研究所と富士通が共同で開発し計算速度ランキングで世界一位になった日本製のコンピューターで、実用性が高く使いやすいコンピューターとして開発されました。計算速度以外にもAI処理能力評価を含めた4分野で世界一位を獲得しました。「富岳」の名称は、富士山の異名で、富士山の高さが性能の高さを表し、また富士山の裾野の広がりがユーザーの広がりを意味します。また“富士山”が海外の方からの知名度も高く名称として相応しいこと、また海外の方からも発音しやすいことから選考されました。(理化学研究所)

スーパーコンピューター「富岳」開発の最大の目的は現代社会が抱える、様々な課題と、科学分野における重要な問題の解決に貢献することです。「富岳」が取り組むべき重点課題は文部科学省が検討して9課題が決定されました。

健康長寿社会の実現

1、生体分子システムの機能制御による革新的創薬基盤の構築

2、個別化・予防医学を支援する統合計算生命科学

防災・環境問題

3、地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築

4、観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化

エネルギー問題

5、エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発

6、革新的クリーンエネルギーシステムの実用化

産業競争力の強化

7、次世代の産業を支える新機能デバイス・高性能材料の創生

8、近未来物づくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発

基礎科学の発展

9、宇宙の基本法則と進化の解明

「富岳」の本格稼働は来年からの予定ですが、新型コロナウイルスが流行する中、スーパーコンピューター「富岳」を使用して既存の抗ウイルス薬から新型コロナウイルス感染症の治療薬開発に取り組んだり、各種類のマスクの飛沫状況、くしゃみによる飛沫の広がりをシュミレーションして解明したりして新型コロナウイルスの感染予防の取り組みが進められています。今後は、日本における様々問題に強大な計算力で国民の安心・安全を守っていくことが期待されています。