エネルギーハーベスティング(環境発電)
エネルギーハーベスティングとは、太陽光、室内光(照明)、振動、体温、電磁波など身近にある微小のエネルギーを採取(ハーベスト)して電力に変換する技術で「環境発電技術」と呼ばれています。メガソーラー、風力、水力発電のように、自然エネルギーを使用した低コスト、大容量の発電とは異なります。発電方法自体は、以前からある技術で太陽光で発電する電卓や腕時計などに利用されています。
エネルギーハーベスティングで電力を得るための主な方法として
①光エネルギー(光発電)
光エネルギーを利用して発電する技術を光発電と言い、太陽光や室内灯、
LEDなどから、微弱電力を得る技術です。太陽電池で光エネルギーから
電気エネルギーに変換します。
②熱エネルギー(熱電発電)
熱エネルギーを利用して発電する技術を熱電発電と言いモーターやエンジン、ビルや配管などから発する熱エネルギーを採取し電力を得る技術です。ゼーベック素子(ベルチェ素子、温度差を直接電圧に変換する素子)を利用した温度差発電が主です。
③振動エネルギー(振動発電)
振動エネルギーを利用して発電する技術を振動発電と言い、人や車が移動する際、床に伝わる振動を採取し電力を得る技術です。発電素子として圧電素子(ピエゾ素子、圧電体に加えられた力を電圧に変換する素子)などを介して電力に変換します。
④電磁波エネルギー(電磁波発電)
電磁波エネルギーを利用して発電する技術を電磁波発電と言い、テレビ、ラジオ、携帯電話、無線LANなどが発する電波のエネルギーを採取し電力を得る技術です。レクテナ(マイクロ波を直流電流に変換する装置)を利用し直流電流に変換します。電力線の漏れを利用する磁場発電も同一です。
必要な量を提供できない、発電量が不安定などの課題はありますが、エネルギーハーベスティングで得られたエネルギーを活用することで、電池交換や配線の必要がないセンサーを、危険を伴う場所や、人が立ち入れない場所などに大量に配置して情報を収集、活用できます。いつでも、どこでも、誰でもネットワークと繋がるユビキタスネット社会や、IoT(Internet of things)の活用範囲が広がります。
エネルギーハーべスティングによって形成された技術は、単に発電方法がクリーンなだけではなく、低炭素社会実現に向けて、物流管理をはじめ環境情報の計測、可視化や省エネ制御のための環境センサーの電源として期待されています。さらに、自動車の安全性、燃費向上のためのセンサーやウェアラブル、医療機器の電源など様々な応用が見込まれる画期的な技術です。